渋谷庄司重国の嫡男で吉岡館主・光重の四男・重茂は、ここ高座郡大谷郷に居館を構え、大谷四郎を名乗っていた（『渋谷系図』）。彼はその後、薩摩に下り、薩摩鶴田氏の祖となった（『日本城郭大系』）。

相模川の東、横山丘陵の西縁の一角、「坊原」の台地が屋敷の跡地と伝承されている。東側の谷間に「ウマオトシ」の地名が残り、周辺は鬱蒼とした地形であるが、遺構は何ら残らない。

市立大谷中学校が跡地ともされる（『えびなの坂』）が、確証はないだろう。現地を訪問したが、大谷中の場所よりも、断崖に囲まれ、永池川の河原に接する「大谷八幡宮」あたりが居館を設けるに最適だと感じる。