品川氏館（★東京都品川区豊町２丁目）

品川氏館の文献は無く、口伝によると、大井氏の庶流である品川氏の館址ではないかと云われてきた。

品川氏は鎌倉時代にこの地に居住した御家人。大井に拠点をもった大井氏とは同族らしく、紀伊国粉河寺領丹生谷の地頭の出だという。源頼朝挙兵に参加したという説があるものの、室町時代、鎌倉公方・足利持氏によって、領地を没収されて滅亡したと云われる。品川氏がここ品川という地名からその名乗りを始めたとの確証はなく、逆に「品川」という地名は品川氏の名からとったという説や、目黒川の古名説、岬や山、谷があって品よき地形から高輪に対する品ヶ輪説、鎧のおどしに用いる品革説などがあり、判然としない。

品川氏の大井氏とともにその館地は不明で、近年までは品川氏館は現在の戸越公園（品川区豊町２丁目）付近ではないかと推察されていた。現在ではその他に、小高い丘上を占め、近くを鎌倉街道が走る、品川区西大井３丁目の貴船神社付近もその候補地のひとつになっている（『日本城郭大系』）。